「有機溶剤作業主任者」の資格と聞いてマニアックな資格とお思いでしょうか?
いえいえ、これは需要のある資格です。
事務系のお仕事の方にはもちろん必要のない資格ですが、有機溶剤を使用するお仕事はたくさんあるので資格を取得して損はないでしょう。
筆者は13年前に取得しましたが、今も昔も内容はそれほど変わらないようです。
有機溶剤作業主任者とは?

ここでは簡単に有機溶剤作業主任者の資格について説明します。
そもそも有機溶剤って何?
有機溶剤は、
「他の物質を溶解する用途に用いられる、常温で液体の有機化合物」
ということができるのですが、工業用の有機溶剤だけでも約500種類もあります。
その中の54種類は有機溶剤中毒予防規則に適用されています。
有機溶剤は常温なのですが、揮発性が高く呼吸や皮膚から吸収されやすいので人体に非常に有害です。ですので、有機溶剤中毒を予防しなければなりません。
具体的にどのような業務で使用するかは、例えば印刷業務、つや出しや防水、試験や研究、塗装、洗浄などがあります。
まあまあ生活に身近ですよね。
<参考>
・有機溶剤作業主任者テキスト 中央労働災害防止協会
・厚生労働省 「有機溶剤中毒を防止しましょう」
有機溶剤作業主任者とは?
国家資格です。
法的な流れをザックリ噛み砕いて説明します。
この法律は、労働災害を防止する対策を推進して、職場における労働者の安全と健康を確保する目的ですよ〜。
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労働安全衛生法 第三章 安全衛生管理体制
事業者が自立的かつ的確に労働災害の防止を行うために、安全衛生管理体制(第十条から第十九条)を規定していますよ〜。
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労働安全衛生法 第三章 安全衛生管理体制 第十四条(作業主任者)
事業者は、労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものは、技能講習を修了した人の中から作業主任者を選んで、従事する労働者の指揮を行わせなさいよ〜。
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労働安全衛生法施行令 第六条(作業主任者を選任すべき作業)二十二
作業者主任者を選任すべき作業っていうのは、屋内作業場やタンク、その他の場所で別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造したり、取り扱ったりする業務で、厚生労働省令で定める作業のことですよ〜。
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別表第六の二 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
別表第六の二に掲げる有機溶剤っていうのは、アセトンとかイソブチルアルコールとかここに書いてありますよ〜。
のような流れなのですが、一言で言えば、
「事業者は有機溶剤作業主任者技能講習を修了した人の中から作業主任者を選んで置きなさい。」
ということです。
この他に、労働安全衛生規則や有機溶剤中毒予防規則が関連しているのですが、長くなるのでここでは割愛させていただきます。
有機溶剤作業主任者資格取得方法(埼玉県の場合)2022年12月現在

各県によって異なります。
埼玉県は埼玉労働基準協会連合会なのですが、神奈川県は神奈川労務安全衛生協会、大阪は建設業労働災害防止協会大阪府支部など名称が違います。
検索バーに「有機溶剤作業主任者 ◯◯県」で出ます。
ちなみに金額も各県で違うようです。
開催日程の検索
「有機溶剤作業主任者 埼玉県」で検索すると「一般社団法人 埼玉労働基準協会連合会」が案内をしているのが分かります。
有機溶剤作業主任者技能講習の欄を見ると、約1年分の開催日程が記載されています。
現在受付中の場合は『詳細等』をクリックすれば、案内の詳細と申込書が表示されます。
ちなみに、今後のもの、終了したもの、締め切ったものの詳細をどう見ればよいか、リンク先もないようで戸惑います。
よく見ると、申込先が「連合会」や「◯◯地区協会」と開催場所によって異なっています。
トップページ上部の「各地区労働基準協会」をクリックすると9ヶ所の労働基準協会が表示されますので、知りたい地区協会をクリックして見てください。
同じ労働基準協会とはいえ、管理が別々なのでしょうね。
ホームページの作りがそれぞれなのでこれまたちょっと戸惑います。
案内書と申込書は共通のように見えます。
中には時間割を載せている載せている地区もあります。
どんな内容?
受講資格:満18歳以上です。
講習期間:2日間あります。朝から夕方までみっちり。
昼食:出ないので持ってきてください。
外に食べに行くのはOKなのですが、お昼の休憩が50分です(川口の場合)。1時間はありません。
周囲に飲食店があるのか、講習人数によって店が混んでしまわないかなど気をつけてください。
講習費用:受講料15,180円(13,200円(消費税含む)、テキスト代1,980円(消費税含む))
県によって異なります。
学科のみです。実技はありません。
・オリエンテーション10分
・作業環境の改善方法 4時間
・労働衛生保護具 2時間
・有機溶剤作業主任者の職務、有機溶剤による健康障害および予防措置に関する知識 4時間
・関係法令 2時間
・試験 1時間
難しい?
結論から言えば、簡単です。
普通に真面目に講習を受けていれば受かります。
事前の勉強も必要ありません。
講習の先生が「ここは試験に出ますよ」と言ってくれますので、しっかり聞いていれば大丈夫でしょう。
筆者の場合

13年前の話ですよ。
有機溶剤作業主任者を受講しようとしたきっかけ
「一般毒物劇物取扱者を独学で取得したときの話」でお話しましたが、当時、派遣社員として石油関連の研究所に勤めていました。
派遣社員なのでいつ契約終了になってしまうかわかりません。
派遣社員で生き残るためには、周りの派遣社員より何か優れていなければならないといつも危機感を持っていました。
文系の筆者が理系の職場で生き残るには資格取得しかなかったのです。
武器を何も持たないより職場で活かせる武器を持つ、その武器が「資格」であり、ここでは「有機溶剤作業主任者」という資格でした。
資格自体が直接派遣社員の生き残りに影響することはなかったです。
今思えば「クビになりたくない」という不安を払拭するためだったのかもしれません。
でも職場は常時、トルエン、アセトン、キシレンその他たくさんの有機溶剤を使用しており、自分の身体を守るために勉強し資格を取得したことはとても良かったと思っています。
有機溶剤作業主任者技能講習の今昔

現在を調べていたのですが、当時とあまり変わらないですね。
2日間みっちりやって、しっかり聞いていれば合格できること。
違うのは、当時は受講資格に制限はありませんでした。
今は満18歳以上ですし。
それと受講費用は10,200円でした。
今は高いですね。
もう一ついえばお昼休みは40分でした。
大学が会場だったのですが、学食はやっていないし敷地から外へ出るのも時間かかるし、外に出ても飲食店がたくさんあるような場所ではなかったのでコンビニ食で済ませました。
今の修了証はどんなのでしょう。
紙で2、3ページあって黒いカバーがしてありました。
プラスチックがいいなぁ。
さいごに

いかがでしたでしょうか。
今回は有機溶剤作業主任者技能講習を修了(合格)した話でした。
扱う時の法令はどうなっているか、保護具についてや作業環境、予防措置や応急措置など分厚いテキストにすべて記載されています。
自分の身を守るためにも、有機溶剤を扱うお仕事の方は講習を受けるのもいいと思います。
では、本日もご安全に!
最後までお読みいただきありがとうございました。
