[法律初学者向け]条文の読み方と言葉の本当の意味

法律初学者向け条文の読み方と言葉の本当の意味大学

法学部のみなさんはもう六法はお持ちですね。

慣れないうちは、細かい字で、漢字がたくさんあって、
なんとも読みにくい文章だと感じますよね。

ところで、読んでいくうちに似たような言葉が出てくることにお気づきでしょうか?

例えば、
・「その他の」と「その他」
・「・・・してはならない」と「・・・することができない」

これらは意味が異なります。
自己解釈で学習を進めていかないようにしてくださいね。

言葉のひとつひとつを理解すると、スッと頭の中に入りやすくなります。

今回は、その似た言葉の一部を解説したいと思います。
本当の条文の意味を理解しましょう。

ここでは「条文の読み方 有斐閣」を参考にお話します。

「その他の」と「その他」

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ほとんど同じじゃない?

いえいえ、法令では使い分けがされています。

「その他の」

「その他の」とは、

「その他の」は、前の語句が後ろの語句の例示である場合に用いられます。

出典元:条文の読み方 有斐閣

例えば、健康増進法第十七条を見てみましょう。

『(市町村による生活習慣相談等の実施)第十七条① 市町村は、住民の健康の増進を図るため、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、管理栄養士、栄養士、歯科医衛生士その他の職員に、栄養の改善その他の生活習慣の改善に関する事項につき(略)・・・・・とする。』

この場合「医師、歯科医師、・・・・・、歯科衛生士」が「職員」の例えという意味になります。

「その他」

「その他の」に対して「その他」は、

その前後の語句を並列の関係で並べる場合に用いられます。

出典元:条文の読み方 有斐閣

例えば、民法第一七四条の二を見てみましょう。

『(判決で確定した権利の消滅時効)第一七四条の二① 確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停の他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。』

この場合、「和解」「調停」「確定判決と同一の効力を有するもの」を並べた意味になります。

「・・・してはならない」と「・・・することができない」

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この違いはなんとなく分かるかな。

「・・・してはならない」

「・・・してはならない」は、

一定の行為の禁止、すなわち不作為の義務を課すことを表します。

出典元:条文の読み方 有斐閣

「不作為」とは「何もしないこと、又は一定の行為をしないこと」の意味でしたね。

例えば、労働基準法第一四条を見てみましょう。

『(契約期間等)第一四条① 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、五年)を超える期間について締結してはならない。(以下略)』

「・・・してはならない」という不作為の義務を課しているにも関わらず、この規定に違反した場合は罰則の対象になることがあります。
この場合、労働基準法第一二〇条一号によって、三十万円以下の罰金に処すると定められています。

「・・・することができない」

「・・・することができない」は、

通常、ある行為をする法律上の能力や権利がないことを表します。

出典元:条文の読み方 有斐閣

民法第七三一条を見てみましょう。

『(婚姻適齢)第七三一条 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。』

「・・・してはならない」は、違反があっても、法律行為の効力に直接影響はないのですが、
「・・・することができない」は、その行為をした場合、その行為の効力そのものが問題になってしまいます。
つまり、婚姻をする法律上の能力や権利がないのに婚姻届を出しても、受理されないことになります。
その違反に対して罰則が定められていることは少ないようです。

「遅滞なく」と「直ちに」と「速やかに」

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どれも急いでいそうに感じる。

「遅滞なく」

「遅滞なく」は、

「直ちに」や「速やかに」と比べると、時間的即時性の度合いが弱いものとされており、時間的即時性は求められるものの、正当な、あるいは合理的な理由に基づく遅れは許されるものと解されています。

出典元:条文の読み方 有斐閣

観光立国推進基本法第一〇条を見てみましょう。

『(観光立国推進基本計画の策定等)第一〇条④ 国土交通大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、観光立国推進基本計画を国会に報告するとともに、公表しなければならない。』

事情の許す限りすぐに、のようなニュアンスですね。

「直ちに」

「直ちに」は、

三つのうちで最も時間的即時性が強いものとされており、一切の遅滞が許されないという強い趣旨で用いられます。

出典元:条文の読み方 有斐閣

道路交通法第七二条を見てみましょう。

『(交通事故の場合の措置)第七二条① 交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。(以下略)』

交通事故があったらまずは救護です。
一切の遅滞は許されないですよね。

「速やかに」

「速やかに」は、

「直ちに」よりは時間的即時性が弱く、「遅滞なく」よりは時間的即時性が強い、いわば両者の中間に位置する用語として用いられます。

出典元:条文の読み方 有斐閣

児童虐待の防止等に関する法律を見てみましょう。

『(児童虐待に係る通告)第六条① 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は・・・・・(以下略)』

「遅滞なく」や「直ちに」の義務を怠ると義務違反とされることが多いのですが、
「速やかに」は訓示的、注意を促すような意味があります。
しかし「すみやかに」が用いられている規定にも、罰則が設けられているものもあります。

さいごに

六法全書の背表紙

いかがでしたでしょうか。
今回は、条文の言葉本当の意味について解説しました。

今まで特になんとも思わずサラ〜っと読んでしまってはいなかったでしょうか。

言葉の意味を正しく理解しておくことは、法律において基本的なことですしとても重要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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